2015年10月15日木曜日

トポロジー入門演習(第2回)

[場所1E103(水曜日4限)]

HPに行く.

今日は距離空間の続きの演習を行いました.
講義の方ではそれほど進んでいない様子ですが、演習では、距離空間の間の写像の連続性や、集積点、内点などの問題を含めました.講義の方とそれほど離れないように、少しずつ先取りしながら行こうと思います.

積極的に問題を解いてくれる人多いですね.

演習では、幾つかの不等式や距離空間の性質などの問題を解く人が多かったです.
解いた問題8,10などは、後ろの問題14の中の問題のヒントになるような問題になっています.

演習の前に少しだけ説明したことをもう一度ここで書いておきます.


集積点
ある点 $p$ が部分集合 $A$ の集積点であることを示すには、その部分集合 $A$ の中の点列 $x_n$ で $x$ にいくらでも近いものが存在することを言えばよいことになります.
つまり、$p$ に収束する $A$ の点列が選べればよいことになります.

例えば、$(0,\infty)$ なる区間において、$0$ がこの区間の(実数全体の中における)集積点であることを
いうには、任意の $\epsilon>0$ に対して、$U(0;\epsilon)=(-\epsilon,\epsilon)$
が $(0,\infty)$ と交わることを言えばよいでしょう.
つまり、$(-\epsilon,\epsilon)\cap (0,\infty)=(0,\epsilon)$ となり、この開区間には、
必ず $\epsilon/2$ が含まれています.
よって空ではありませんので、この $0$ は集積点の一つということになります.

$(0,\infty)$ の点は必ず、集積点であることは明らかです.任意の $\epsilon>0$ において、$U(x,\epsilon)$ が $(0,\infty)-\{x\}$ と交わっています.

それ以外の点(任意の負の実数)が集積点にならないことを示す必要があります.
$x\in (-\infty,a)$ が $(0,\infty)$ の集積点でないことを示すには、ある $\epsilon>0$ が
存在して、$U(x;\epsilon)\subset (-\infty,0) \neq \emptyset $ を示せば十分です.
これは、$\epsilon$ を $|x|$ より小さくしておけばよいでしょう.

連続写像

距離空間の間の写像の連続性は、$f:(X_1,d_1)\to (X_2,d_2)$ が $\epsilon-\delta$-論法を用いた微積分で習ったものと同様の性質を持つことです.
つまり、$x=x_0$ で連続であることは、任意の $\epsilon>0$ に対して、ある $\delta>0$ が存在して、$d_1(x,x_0)<\delta$ なる任意の $x$ は $d_2(f(x),f(x_0))<\epsilon$ を満たすことです.

つまり、
$$\forall x\in U(x_0;\delta)\Rightarrow f(x)\in U(f(x_0);\epsilon)$$
が成り立つように、$\delta$ が取れるかということになります.

つまり、$\delta>0$ が存在して、$U(x_0;\delta)\subset f^{-1}( U(f(x_0);\epsilon))$ となることです.
これは、$x_0$ が $f^{-1}( U(f(x_0);\epsilon))$ において内点であるということと同値です.

これが、任意の $x_0$ について成り立つならば、
もう少しスッキリした形で書くと、$p\in f(X_1)$ なる点を持ってきたときに、
$f^{-1}(U(p;\epsilon))$ が各点で内点であることと言い換えることができます.

各点が内点であるということは、結局、たとえ、$p\not\in f(X)$ としても、空集合が開集合であることから、

$f$ が連続であることは、
任意の $\epsilon>0$ に対して、どんな $p\in X_2$ に対しても、
$$f^{-1}(U(p;\epsilon))$$
が $X_1$ において開集合であるということと同値です.


p進付値
p進付値について問題を解いた人がいたのでまとめておきます.

$0$ ではない整数を $n=ap^r$ なる素因数分解をしたとします.$a$ は $p$ と互いに素です.
このとき、
$\varphi_p(n)=2^{-r}$ として定義します.
このことを $p$ 進付値ということにします.教科書では、これを $p$-進付値としていますが、一般的には、$r$ の方を付値というような気がします.
多項式で言えば次数のような数のことです.

このとき、$\varphi_p(n+m)\le \max\{\varphi_p(n),\varphi_p(m)\}$ が成り立ちます.
$n,m$ をどちらも $0$ でない整数として、$n=ap^r$ $m=bq^s$ と分解しておきます、
さらに、適当に $n,m$ を入れ替えれば、$r\le s$ と仮定できます.このとき、
$n+m=(a+bp^{s-r})p^r$ と分解できて、$s>r$ であれば、$a+bp^{s-r}$ は再び $p$ と互いに素になりますので $\varphi_p(n+m)=2^{-r}$ となります.つまり、
$\varphi_p(n+m)=\varphi_p(n)=\max\{\varphi_p(r),\varphi_p(s)\}$
が成り立ちます.
$s=r$ の場合、$n+m=(a+b)p^r$ となり、$r$ は少なくとも、$n+m$ を割り切る素因数ということになり、$\varphi_p(n+m)\le r=\max\{\varphi_p(n),\varphi_p(m)\}$ となります.

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