2016年4月23日土曜日

微積分I演習(第2回)

[場所1E101(水曜日4限)]


    今日は

    • 論理の続き
    • 上限、下限、有界の言葉の定義
    • 数列の収束の示し方
    などを行いました.
    数列の収束についての問題は少し残りましたので、次回に、最初に時間を取りますので、やりたい人は、発表してください.

    否定・逆・裏・対偶

    否定
    (Aである)$\Rightarrow $ (Aでない)

    $A\Rightarrow B$ 
    なる命題があったときに、

    とは、$B\Rightarrow A$ なる命題のこと.

    とは、$\bar{A}\Rightarrow \bar{B}$ となる命題のこと.

    対偶
    とは、$\bar{B}\Rightarrow \bar{A}$ となる命題のこと.

    数学では、元の命題 $A\Rightarrow B$ とその対偶は同じ命題として扱う.
    また、逆と裏も対偶の命題なので、同値な命題として扱う.

    十分条件・必要条件

    命題 $A\Rightarrow B$ があったときに、このとき、$A$ のことを、この命題の十分条件、$B$ のことを必要条件という.

    上限・下限



    定義1(上界、下界)
    部分集合 $A\subset {\mathbb R}$ において、任意の $x\in A$ において、$x\le a$ ($a\le x$)なる $a\in{\mathbb R}$ のことを $a$ の上界(下界)という.


    定義2(上に有界、下に有界
    $A$ の上界(下界)が存在するとき、$A$ は上に(下に)有界という.
    $A$ が上に有界かつ下に有界のとき、単に、有界という.


    定義3(上限・下限)
    上界(下界)の最小値(最大値)を上限(下限)という.

    $A$ の上限を $\sup(A)$ とかき、$A$ の下限を $\inf(A)$ とかく.

    $A$ の最大値(最小値)とは、$A$ の元の中で、最大(最小)となる元のことで、
    集合によっては、$A$ が有界だからといって、最大値や最小値となる値があるとは限りません.例えば、$1/n$ なる数列からなる集合は、有界ですが、最小値はありません.

    しかし、この集合は、上限はもちろん、下限も存在します.
    なので、


    上に(下に)有界な集合は、上限(下限)は必ず存在する.


    今日の演習で、$A=\{3-\frac{1}{n}\}$ としたとき、$\sup(A)=3$ であることは、なんとなくわかると思いますが、厳密な証明をつけると次のようになります.

    $\sup(A)=3$ であることの証明

    $a=\sup(A)$ とおいて、$a\le 3$ かつ、$3\le a$ であることを示す.

    $a$ は任意の $n$ において、$3-1/n<3$ であるので、$3$ は $A$ の上界ということになります.$a$ は上界の最小値ですので、$a\le 3$ ということになります.

    逆に、$3\le a$ を示すのに、対偶を取って、$a<3$ であると仮定します.

    このとき、$a<3-1/n<3$ なる整数 $n$ をとることができます.なぜなら、この式は変形すると、$n>\frac{1}{3-a}$ なる自然数をとることができることと同じであり、$a$ は固定された数なので、いくらでも大きい数があるということからわかります.これは教科書の定理には、アルキメデスの原理と書いてあります.12ページの定理1-4です.

    よって、 $\exists\,n$ に対して、$a<3-1/n$ となります.
    これは、$a$ が $A$ の上界に反します.よって、背理法から、$3\le a$ がわかります.

    よって、$a=3$ がいえます.


    数列の収束

    数列が収束するかどうかは、結構難しいです.今日はその途中で終わってしまいました.

    まず、数列が収束することは、実際以下のような定義です.


    定義4(数列の極限)
    数列 $a_n$ が $a$ に収束するとは、
    任意の $\epsilon>0$ に対して、ある整数 $N$ が存在して、$\forall n>N$ に対して、$|a_n-a|<\epsilon$ となること

    つまり、ある極限値に収束するには、その値にいくらでも近くすることができることですが、いくらでも近いところに、数列のある番号から先は全て入っていなければならないということです.

    これは、$\epsilon-N$ 論法などと呼ばれており、きちんと練習をする必要があります.


    ここでは、$\epsilon-N$ 論法は一旦おいておいて数列の収束の判定のために、今日は3つの判定条件を与えました.


    定理5(収束判定条件)
    1. 単調増加(減少)な数列 $a_n$ で上に(下に)有界な数列は収束する.
    2. 単調増加(減少)な数列 $a_n$ で、$a_n\le b_n$ となり、$b_n$ が上に(下に)有界であれば、$a_n$ は収束する.
    3. 発散する数列 $b_n$ で、任意の $n$ に対して $|b_n|\le |a_n|$ となる数列 $a_n$ は発散する.


    です.授業中では単調減少するほうは何も言っていなかったのでそちらも含める形に直しました.

    1と2は似通っています.実際、1から2はわかると思います.

    級数は、部分和、$s_n=\sum_{k=1}^na_k$ となる数列のことです.級数の収束は、この部分和の数列が収束することです.

    収束するかどうかということと、値が計算できることは別問題で、後者の方はできることはまれですが、前者の方は方針があれば、何とかできる場合が多いです.

    例えば、
    $a_n=\frac{1}{n}$ の収束はすぐ分かると思いますが、
    $a_n=\frac{n+1}{n^2+1}$
    のような数列の場合、一斉に$n$ で割って、
    $\frac{1+\frac{1}{n}}{n+\frac{1}{n}}$
    としてやると、分母は$\infty$ にいき、分子は有限なので$0$に収束することがわかります.
    ただ、手法として、これは、多項式のような場合しか役にたちません.


    この数列が収束することを上記の命題を使ってやりますと、

    まず、単調減少であることは、
    $\frac{n+2}{(n+1)^2+1}-\frac{n+1}{n^2+1}=\frac{(n+2)(n^2+1)-(n+1)((n+1)^2+1)}{((n+1)^2+1)(n^2+1)}=-\frac{n(n+3)}{(n^2+1)(n^2+2n+2)}<0$
    となり、

    $\frac{n+1}{n^2+1}\ge0$ なので下に有界です.

    よって、上の命題から、$a_n=\frac{n+1}{n^2+1}$ は収束します.

    このように多くの場合は不等式を使って収束を示します.

    実際 $0$ に収束することは、別の議論が必要です.


    級数

    級数とは、$\sum_{n=1}^\infty a_n$ なる極限をもつ数列の和のことで、
    級数が収束するというのは、部分和 $\sum_{n=1}^Na_n$ が収束するという意味です.

    例えば、幾何級数 $\sum_{n=1}^\infty ar^n$ は、
    $s_N=\sum_{n=1}^Nar^{n-1}=a\frac{1-r^N}{1-r}$ が成り立ち、$|r|<1$ であれば、これは
    有界であり、

    さらに、$r>0$ であれば、単調増加、なので、収束します.
    また、$r<0$の場合は、
    $|s_N-\frac{a}{1-r}|=\frac{a|r|^N}{1-r}$
    が $0$ に収束することを言う必要があります.

    $\frac{a|r|^N}{1-r}$ は単調減少であり、$0$ 以上なので、収束はします.
    さらに $0$ に収束することを言う必要があります.


    ここで、上の $\epsilon-N$ 論法を用いてみます.
    結論から先に言えば、任意の $\epsilon>0$に対して、$\frac{a|r|^n}{1-r}<\epsilon$ となるように、
    $\frac{|ar^n|}{|1-r|}<\epsilon$ とする必要があります.
    $a,r$ は定数なので割ってやって、$|r|^n<\frac{\epsilon|1-r|}{|a|}$ として、$\log$ をとると、
    $n\log |r|<\log(\frac{\epsilon|1-r|}{|a|})$ であり、$\log|r|<0$であることに注意すると、
    $n>\frac{\log(\frac{\epsilon|1-r|}{|a|})}{\log|r|}$ となります.

    ここで、任意の $\epsilon>0$ に対して、この不等式を満たす $n$ は十分大きくすれば必ずとることができます.(教科書のアルキメデスの原理です)
    また、ある一定数 $N$ を決めておけば、$n>N$ なる全ての $n$ についてこの不等式を満たすこともできます.

    これは、$\frac{|ar^n|}{|1-r|}<\epsilon$ が任意の $\epsilon>0$ に対して成り立つということだから、
    $\frac{a|r|^n}{1-r}\to 0$ がいえます.


    このような議論は来週も授業でやります.
    来週はその辺を攻めてみようと思います.


    演習のプリントで載せた
    $$1+1/2+1/3+1/4+\cdots$$
    は、実は、結果としては、収束しません.

    他の関数と比較してください.


    関数と比較する場合

    収束する場合は、$\sum_{n=1}^\infty\frac{1}{n\sqrt{n}}$の収束を示しました.


    発散することを示すには、例えば、単調減少する関数 $f(x)$ として、

    $a_n\ge f(n)$ となる関数をつくり、、$\sum_{k=1}^Na_k\ge \int_1^{N+1}f(x)dx$ として、
    かつ $\int_{1}^{N+1}f(x)dx$ が計算でき、$\lim_{N\to \infty}$ が発散することがわかれば
    $\sum_{k=1}^Na_k$ の発散が示せます.

    $$1+1/2+1/3+1/4+\cdots$$

    などは上の例はその応用です.


    宿題1-1は、
    (1) は、$1+1/2^2+1/3^2+1/4^2+\cdots$ は収束することを使ってもかまいません.
    (2) は、何とか、正項級数になるようにまとめ、あとは、$1+1/4+1/9+\cdots$ の収束性を使いましょう.


    ちなみに、$1+1/4+1/9+1/16+\cdots$ の収束性ですが、
    $\sum_{k=1}^\infty\frac{1}{n^2}<1+\sum_{k=2}^\infty \frac{1}{n(n-1)}$
    を使って考えてください.



    宿題2-2の問題は、

    ネイピア数の導入のところの範囲だったのですが、
    授業中はやる時間がありませんでした.

    逆数を取れば、$\left(1+\frac{1}{n-1}\right)^n>\left(1+\frac{1}{n}\right)^{n+1}$ を示せばよいです.

    $\left(1+\frac{1}{n}\right)^n$ で割ると、$\left(\frac{n^2}{n^2-1}\right)^n>1+\frac{1}{n}$
    を示せばよいですが、

    あとは、宿題の残りとします.


    宿題2-3 の問題は、

    $\sup,\inf$ の使い方がわかっているかどうかのチェックです.
    できれば、授業でやったような証明を試みてください.

    $\sup(A+B)=a$ であることを示すとします.($a$ は何か数値が入ります.)
    $\sup(A+B)\le a$ かつ、 $\sup(A+B)\ge a$ であることを証明します.

    前者の証明をするには任意の $A+B$ の元が $a$ 以下であることを示されれば、 $a$ が $A+B$ の上界であることがわかります.

    後者の証明は、$\sup(A+B)<a$ であるとして矛盾を見つけてください.
    $a$ より少しでも小さい正の値が $A$ の和と $B$ の値の和として表せることを示してください.



    まだ、この辺りのことは、理解不足と思われるので、来週の演習で取り上げようと思います.

    0 件のコメント:

    コメントを投稿