2015年3月30日月曜日

Yitang Zhang の論文でも見てみるか

 Yitang Zhang は双子素数予想などに関係する素数分布の分野を発展させたことで、数学者以外の人にも有名になりました.その論文は下の参考文献 (1.) ですが、私は全くの素人ですので、誰でもわかる最初の部分だけ読んでみました.Zhang はその数年前にAnn. of Math. に出版された Goldston, Pintz, Yildirim らの論文 (参考文献(2.))に触発されてそれを改良した形でその結果を導いたようです.その結果とは、

ある $7\times 10^7$ までの整数 a で、隣り合う素数の差がその数 a になるような素数のペアが無限個存在する.

というものです.この結果はこれまでの素数論の研究の中で驚異的なものです.もし上の整数 a が2であるなら、有名な双子素数予想(11,13や41,43などの差が2の素数の組みが無限個存在するだろう)の解決になります.双子素数予想が解決するとか、このように発展するとか、全く夢のようなことなのです.この a が今では600 ほどに縮まっているとのことで、(夢の世界である)双子素数予想の解決にかなり迫っているといわざるをえません.

そもそも Yitang Zhang 以前はある素数同士の差が一定になるような無限個のものがあるかどうかさえ全くわからないような状況でした.Goldston, Pintz, Yildirim の結果もそれに迫るような状況であったようなのですが..(私は専門家ではないので全く読めません.)

では Yitang Zhang の論文の最初の方だけ見てみます.(そもそも数論の論文を眺めたのは初めてな気もします.)

主定理を述べるために記号を導入します.有限個の非負整数集合 $\mathcal{H}$ がadmissible であるとは、任意の素数 $p$ に対して $\mathcal{H}$ の $p$ に関する residue class (余りの類別集合)の数が $p$ より小さいもののことをいいます.例えば、$\{7,11,13,17,19,23\}$ を考えれば、この集合に含まれない素数 $p$ に関しては、 $p$ で割れる数(つまり residue が 0 の数)が入っていないので条件を満たします.$p=7,11,13,17,19$ に関しては数がそもそも6個しかないのでresidue classとしてたらないものが必ず存在します.なのでこの集合は admissible ということになります.

主定理は次です.

主定理(Yitang Zhang)
$\mathcal{H}=\{h_1,\cdots,h_{k_0}\}$ を admissible な $k_0$ 個の非負整数有限集合で $k_0\ge 3.5\times 10^6$ を満たすとする.そのとき、無限個の整数 $n$ が存在して
$$\{n+h_1,n+h_2,\cdots, n+h_k\}$$
には必ず少なくとも2つの素数が存在する.
とくに、隣り合う素数組でその差が7000万以下のものが無限個存在する.
つまり、
$$\limsup_{n\to \infty}(p_{n+1}-p_{n})<7\times 10^7$$
が成り立つ.

ここで、$p_n$ は $n$ 番目の素数とする.
後半の主張は前半のことを使って導くことができます.つまり、$h_1,\cdots,h_{k_0}$ を全て素数として取っておくことである admissible な集合を作ることができます.
さらに、$7\times 10^7$ という数字は
$$\pi(7\times 10^7)>\pi(3,5\times 10^6)+3.5\times 10^6$$
を満たす数字です. 関数 $\pi(x)$ は自然数 $x$ までに存在する素数の数を与えるものです、その意味としては、$7\times 10^7$ 位まで大きく数を取っておけば $3.5\times 10^6$ 以上の数には $3.5\times 10^6$ 個くらいは相異なる素数が取れることを主張しています.なので、定理の最初の主張を認めると無限個の $n$ に対して
$$\{n+h_1,n+h_2,\cdots, n+h_k\}$$
の中に素数が2個は入っていることになります.その素数の差はせいぜい $7\times 10^7$ 位.
だから、$n$ を無限個とればそのような素数の組が無限個取っていけることになります.さらに言えば、$7\times 10^7$ 以下のある数にはその差がその数になる素数の組が無限個存在することになります.なので、もっとラフに見積もれば、隣り合う素数の差が高々$7\times 10^6$ 以下となる無限個の素数の組が存在することになるのです.

このラフさをみてもこの評価が $7\times 10^7$ から下げられそうであることはなんとなくわかります.論文にも書いてあるとおり、ある有限の値を持ってきて評価することが目的なのでもちろんこの値が最良ということはないと書いてあります.確かにその後タオらによってその値が600位まで落とされています.

本文に戻ると、この定理を証明するためにすべきことは、$x$を実数として、
$$S_1=\sum_{n\sim x}\lambda(n)^2$$

$$S_2=\sum_{n\sim x}\sum_{i=1}^{k_0}\theta(n+h_i)\lambda(n)^2$$
の値を比較、評価するということです.ここで、上と同じ、$\mathcal{H}=\{n+h_i|i=1,\cdots k_0\}$ です.さらに、記号の約束ですが、$\sum_{n\sim x}$ は $x\le n\le 2x$ の範囲で $n$ に関する和をとることを意味します.また、
$$\theta(n)=\begin{cases}\log(n)&n:\text{prime}\\0&n:\text{not prime}\end{cases}$$
ですが、$\lambda(n)$は$\mathcal{H}$ や $x$ に依る関数ですが、この取り方がある意味重要で、Goldston, Pintz,  Yildirim らの取ったものをやや改良しなければなりません.なんというか、このような技術的(というか細かい)と言える部分で本質的な違いが出てくるのはとても恐ろしいことだと思います.なので数論は普通の人間では手がつけられないのです.

キーポイントは適当に $\lambda(n)$ をとってこれば、$S_2-(\log 3x)S_1>0$ が成り立つことです.そうすると、十分大きい $n$ に対して $\mathcal{H}$ には必ず $2$ 個以上は素数が存在します.というのも、もしどんなに $n$ を大きくしても $\mathcal{H}$ の中に素数が1つ以下であるとすると、
$$\log(3x)S_1<S_2<\sum_{n\sim x}\log(n+h_j)\lambda(n)^2=\log(2x+h_j)S_1$$
が成り立ちます.$h_1,\cdots,h_{k_0}$ は定数ですから、$x$ を十分大きくしておけば $h_j$ をどんなものに選んでおいても $\log(2x+h_j)<\log(3x)$ が成り立つはずです.
というわけで矛盾なわけですね.

あとは、$S_2-\log(3x)S_1>0$ が適当な$\lambda(n)$ のもと示されればよいことになります.


Reference:

  1. Yitang Zhang, Bounded gaps between primes, Ann. of Math. 179 (2014), 1121-1174
  2. D. A. Goldston, J. Pintz, and C. Y. Y ildirim, Primes in tuples. I, Ann. of Math. 170(2009) 819-862

素数を数えよう(4)

今日は、300から399に存在する素数を数えようと思います.

この間の素数は、双子が2組しかいません.
もちろん4つ子素数もいません.そもそも4つ子素数は821, 823, 827, 829まで待たなければならない.待ち遠しいですね.

また、回文素数は 313, 353, 373, 383

素数のいくつかの組みについてwikipediaに載っているものをまとめておきます.

素数同士の組
双子素数
差が2である2つの素数.

いとこ素数
差が4である2つの素数.

セクシー素数
差が6である2つの素数.

3つ子素数
a, a+2, a+6 または a, a+4, a+6 の形の素数列.つまり、双子素数といとこ素数が連続している場合である.そうすると自動的に最初と最後の関係ははセクシーである.

4つ子素数
a, a+2, a+6, a+8 の間隔の素数4つ組み.

5つ子素数
a, a+4, a+6, a+10, a+12, もしくは
a, a+2, a+6, a+8, a+12
の形の5つの素数組.つまり、4つ子素数の下と上4つ離れたどちらかに素数がある.

6つ子素数
a, a+4, a+6, a+10, a+12, a+16 が全て素数の6つの素数組.
つまり、4つ子素数の下と上4つ離れたどちらにも素数がある場合である.

その他(ソフィージェルマン素数・安全素数)
2p+1 が素数となる素数 p のことをソフィージェルマン素数という.また、p が素数となる素数 2p+1 のことを安全素数という.359は300から399の間の唯一のソフィージェルマン素数.また、359は安全素数でもあるが、347, 383も安全素数.
359までのソフィージェルマンかつ安全な素数は、5, 11, 23, 83, 179.

19の倍数の判定条件
2けたの19の倍数は19, 38, 57, 76, 95 ですので、これは覚えてもらうことにして、3けた以上の場合に19の倍数の判定法を作ります.
3けたの数
abc
が19の倍数であるのは、a の5倍と bc の和が19 であるときです.なので、例として、247 は 19 で割れると一瞬で分かります.こういう判定法を使えば、3けたで 19 で割れる素数感漂う数を言い争う場面では負けなしです.ほかにも 800代では 817 なんてどことなく素数感漂いませんか?しかし57を念頭に 19 で割れるとすぐにわかる合成数です.
13 や 17 の判定法はいつもどこかで引き算していましたが今回は足し算であることが注意です.

23の倍数の判定条件
2けたの23の倍数は23, 46, 65, 92 ですね.これらをまずは頭に叩き込みます.
そして、3桁の数が
abc
であったときに、a の8倍とbc の和が23の倍数であれば、abcも23で割りきれます.
例えば、前回やった 299 などはいかにも素数な感じですが、2,99と分けて、2*8+99=115 さらに、 1,15 とわけて、1*8+15=23 となり、23でわれることが分かります.
207も 2, 07 とわけて 2*8+7=23 となるので 23 で割れますね.


307から397までの素数
307から397までの16個の素数を数えていきます.3つの平方数で書く方法は複数あります.

307
次の素数とはいとこ.また、その次が双子のなので(307, 311, 313) は3つ子.一瞬11の倍数かと思うが、407の間違い.3つの平方数 (1,81,225) の和.他に1つの書き方あり.
311
(311,313) は双子.300代の素数の中で1つ目の双子素数.次の双子は(347,349).また、(311,313,317) も3つ子.並び替えた131も素数.
313
次の素数とはいとこ.回文素数.並び替えた331も素数.ただし133は素数ではなかった.2つの平方数の和.3つの平方数 (25, 144, 144) の和.他に1つの書き方あり.

317
次の素数とは16離れており、320代の素数は存在しない.今までで最大離れている.2つの平方数の和.3つの平方数 (4, 144, 169) の和.他に1つの書き方あり.

331
次の素数337とはセクシー.3つの平方数 (25, 81,225) の和.他に1つの書き方あり.

337
下2けた 37 は 37, 137 ひ引き続き4回目の登場.237は3の倍数.2つの平方数の和.3つの平方数 (4, 9, 324) の和.他に1つの書き方あり.
347
次の349 とは双子.その次はいとこなので、(374,379,353) は3つ子素数.47は2桁の素数以来の登場.3つの平方数 (9, 49, 289) の和.他に2つの書き方あり.安全素数.
349
前の347とは双子.やはり49に引っ張られて非素数感漂うがれっきとした素数.数字49のつく素数は149以来の登場.2つの平方数の和.3つの平方数 (9, 16, 324) の和.他に2つの書き方あり.

353
回文素数.次の359とはセクシー.3つの平方数 (4, 25, 324) の和.他に3つの書き方あり.
359
ソフィージェルマン素数かつ安全素数.
367
次の373とはセクシー.67,167は素数であり、267(3の倍数)は素数ではなかったが、367は再び素数.67は素数の定番?
373
回文素数.次の素数379とはセクシー.73, 173,に引き続き、373も素数.73も素数の定番数か?
2つの平方数の和.3つの平方数 (4, 144, 225) の和.他に1つの書き方あり.
379
つぎの383とはいとこ.3つの平方数 (9, 9, 361) の和.他に1つの書き方あり.
383
回文素数.安全素数.次の素数389とセクシー.
389
2つの平方数の和.3つの平方数 (16, 49,324) の和.他に4つの書き方あり.
397
3けた最大の素数.
2つの平方数の和.3つの平方数 (9, 64, 324) の和.これが唯一の書き方.


1の位でまとめれば、

311, 331
313, 353, 373, 383
307, 317, 337, 347
367, 397,
349, 359, 379, 389


1の位でまとめた時、いままでそれほどばらつきがなかったが、300代の数はかなりばらつきがあるようです.
10ごとまとめれば、


307
311, 313, 317 

331, 337, 
347, 349,
353, 359,
367,
373, 379,
383, 389,
397,

となり、相変わらずばらつきがある.

318から330までは、
$318=2\times 3\times 53$, $319=11\times 29$,
$320=2^6\times 5$, $321=3\times 107$, $322=2\times 7\times 23$,
$323=17\times 19$, $334=2^2\times 3^4$, $325=5^2\times 13$,
$326=2\times 163$, $327=3\times 109$, $328=2^3\times 41$
$329=7\times 47$, $330=2\times 3\times 5\times 11$
と大きな素数も入っていますが、合成数です.

今回も素数っぽい非素数.
323  23-3*2=17 なので17で割れる.
329  32-9*4=14 なので7で割れる.相手は47.
343  34-3*2=28 なので7で割れる.実は $7^3$
361  $19^2$ 気づかなければ、3*5+61=76 より19で割れる.
371 37-1*2=35 なので 7 で割れる.相手は53
377 77-3*4=65 は13で割れるので、377は13の倍数.相手は29.
391 7,13はすぐ割れないことがわかり、17を試してみると、91-2*3=85 となり17で割れる.相手は23なので、一応判定法をつかっておけば、3*8+91=115.1,15とわければ、8+15=23 となり23で割れる.

2015年3月28日土曜日

素数を数えよう(3)

今日は 200から299までに存在する素数について数えていきます.
この間の素数はぐっと減って16個です.
これで62個の素数を数えたことになります.

定義からこの素数にはエマープ素数は含まれていません.
なので回文素数はありません.

特徴として若干素数同士の間隔が開いてきたためか、
211は前後11は素数がありません.12離れたところに同時に素数があります.
また、6ずつ離れた連続する素数
251,257,263,269
もあります.

また判定法を更新していこうと思います.

13の倍数の判定法
2けたまでの13の倍数は覚えてもらうことにして、3けたの数が
abc
と書かれていたら、a の 4倍と bc との差が13の倍数であれば、abc の 13 の倍数です.
つまり、403 とかは素数感一瞬漂いますが、13で割れて、商が31です.
この場合相手の31がまぁまぁ大きい素数であることが非素数感を漂わせている要因のようです.
13で割れるというと大がかりな気がしますが、もう素数も数え始めてから3回目なので
どうってことはないですね.
また、2けたの13の倍数が覚えたくないという人には
ab
と書いたときに、a の 3倍と b の差が13なら ab も13の倍数になるという判定法がオススメです.
一応2けたの13の倍数を書いておきます.これらは覚えてしまえばよいかもしれません.
13, 26, 39, 52, 65, 78,91
91が前回から 2回目登場したので、大分非素数感がなじんできました.

17の倍数の判定法
次は17の倍数の判定法です.2けたであれば、
ab
と書かれていたら、a  と、 5倍の b との差が17の倍数であれば、ab の 17 の倍数です.
つまり、例えば、68 は17で割りきれます.
3けたの数が
abc
ならば、aの2倍と bcとの差が17で割れるとき、abcも17で割れます.
3けたの17の倍数は一瞬で分かりたいので、2けたの17の倍数5個
17, 34, 51, 68, 85
これらも、呪文のように唱えておけばいつでもそなえられるでしょう.
あとでこの判定法をつかってみます.

200から299までの素数

211
前の素数 199 から 12 個離れています. 200 ひと桁代には素数は含まれていません.それに唯一の210 代の素数です.つぎの 223 までやはり 12 離れています.2*3*5*7+1 の形の素数.
素数(47)番目の素数.前後12ずつ離れた初めての数.

223
ぞろ目222の次の素数.

227
127に引き続きこの数も素数.次の229と16番目の双子.3つの平方数の和.

229
29に引き続き素数.2つの平方数の和.3つの平方数の和.50番目の素数.

233
2,3を入れ替えた323は17と19の合成数。フィボナッチ数.5から41までの連続する素数の和となる素数.下2桁がゾロ目の3つ目の素数.
それまでは199と211次は277.2つの平方数の和.3つの平方数の和.

239
139に引き続き素数. 241と17番目(素数番目)の双子素数.

241
239 と双子.つぎの素数まで10離れている.2つの平方数の和.3のべき乗プラス2.53番目の素数.3つの平方数の和.3つの平方数の和.

251
並び変えた125は5の3乗.しかし521は素数.3つの平方数の和.次の素数まで6つ離れている.

257
フェルマー素数.つまり定規とコンパスだけで正257角形を描くことができる.2つの平方数の和.前後6つずつ離れた素数.3つの平方数の和.前後の素数まで6離れている.

263
163に引き続き素数.さらに前後6ずつ離れた素数.公差6の有限等差数列3つ目.

269
次の素数271と18番目の双子.69, 169, も合成数だが全体として素数.3つの平方数の和.公差6の等差数列4つ目.

271
並び変えた127は素数.そのほかの並び変えは全て合成数.次の素数と双子.

277
下2桁がゾロ目になる素数.3つ目.59番目の素数.3つの平方数の和.

281
並び替えたら2のべき乗になる素数.次の283と双子.2つの平方数の和.60番目の素数.3つの平方数の和.

283
281と双子.61番目の素数.3つの平方数の和.

293
2つの平方数の和.3つの平方数の和.
  

下1桁で比べると

211, 241, 251, 271, 281
223, 233, 263, 283, 293
227, 257, 277
229, 239, 269

10ずつまとめて見れば

211, 
223, 227, 229
233, 239
241
251, 257
263, 269
271, 277, 
281, 283, 
293

偽素数感
 偽素数感をただ酔わせる数はあまりないんですが、
217, 287は 21,7 と 28,7 と分ければどちらも 7 で割れるので7の倍数であることはわかります.
他には
221,247,259,289
上の判定法を用いれば、
221
2*2-21=17 となり、17で割れますね.さらに
2*4-21=13 となるので13の倍数.
ということは17*13ということでしょうか?

247
2*4-47=39 となり13でわれますね.

259
25-9*2=7 なので7で割れますね.

289は
17の2乗なので知っている人も多いでしょう.
練習のため判定法を用いれば、
2*2-89=84 となり84は7の倍数なのでやはり17の倍数です.

299は
199に引き続き素数感漂いますね.
しかし、7,13,17あたりで考えるのが無難です.7に関しては
29-9*2=11 ですので7 はむりですね.
2*4-99=91 は13の倍数ですので、299は13で割れることがわかります.
2*2-99=95 は17で割れませんので299 は17の倍数ではありません.

結果的に13*23=299 ですが、相手の23というのも、なんだか大きそうな素数です.

2015年3月23日月曜日

素数を数えよう(2)

今日は100から199までの素数を数えます.
このあたりの素数感は私にとっては未知の領域です.
とりあえず素数感を養うためには武器(判定条件)が必要となるので
素数を数えると同時にこれらもそろえていきます.


7の倍数の判定法

3桁の数の素数感を養うために、前回やらなった7の判定法をちゃんと書いておきます.
3桁の場合の7の倍数の判定法は、
abc
をその3けたの数とすると、ab と c の2倍の差が 7 の倍数ならこの数 abc も 7 の倍数となります. とくに、ab=2c となっているような時はすぐさま、非素数!と答えることができます.
たとえば、189は3や9でも割れますが、 7 でも割れるとすぐ言えるでしょう.

一般に abc となっていたときに、abと cに共通に割れる数があれば素数ではありません.
当然、このことは3桁だけの例外事実ではありません.他の桁数の数にもいえます.
91 の非素数感さらに7で割れる感があれば、917 はすぐさま素数ではないことがわかるでしょう.

上の7の倍数判定法を使えば、999までにおいて、7 の倍数であることは、2桁の 7 の倍数の話に帰着します.

ちなみに、この 7 の倍数の判定事実は21が7の倍数であることを使っています.
このような判定法は他の素数の場合も自分でもいくらでも作ることができますね.
これらはいつでも使えるように磨いておきたいものです.

11の倍数の判定法

これも11の筆算をやったことがある人はよく知っているかと思います.
abc
が11の倍数である為の必要十分条件は、a-b+c が11の倍数になっているかどうかです.
なので、253 や891 などの素数感は私にはありません.
他にも 407 や 517 も素数ではありません.11で割れるのです.
桁数ごとに交代和を取って考えれば、4桁以上にも使える判定条件です.
110や11が11の倍数であることを使えばこれらの判定条件は明らかです.

101から199までの素数

101から199までの素数(21個)を並べてみます.若干ですがまばらになってきました.
印象として最初と最後が詰まっていますが、真ん中は結構スカスカです.
しかし双子も7組います.100までは8組.

また、これらの素数の特徴としては、回文素数が目につくことでしょうか?5個登場します.
101, 131, 151, 181, 191,
もちろん数が大きくなれば回文素数の比率は減っていきます.
300代では4個、700代では4個、900代では2個です.
エマープに関しては12個
101, 107, 113, 131, 149, 151, 157, 167, 179, 181, 191
ありますが、それも数が大きくなるごとに減るでしょう.
しかし700代のエマープの多さは少し異常かもしれません.同じく12個あります.

100までの素数を覚えた人は、その後の素数にもその感覚を引きずってしまいますので覚えるときに注意が必要です.
※以下のコメントは、個人の数に対する感想に基づくものですので一般的なものではありません.
だから何?というものも大量に含まれています.(というかほとんどがそうです)
素数を愛でていると考えてください.

101
3桁で最初の素数.回文素数です.この数から2組の双子が一番近い距離で連なります.素数密集地帯突入.100 と 1 で2つの平方数の和.3つの平方数の和.

103
101と双子です.3桁の素数密集地帯2番目.

107
次の109と双子になります.2つの平方数の和.3つの平方数の和.エマープ素数.

109
107と双子.煩悩の数(108)の前後はどちらも素数.2つの平方数の和.3つの平方数の和.

113
エマープ素数.次の素数まで初めて14離れます.密集地帯を越えた反動でしょうか?110代唯一の素数.2つの平方数の和.3つの平方数の和.下2桁入れ替えた数131も素数.

127
27は素数だったのに100後は素数になります.120代唯一の素数.

131
回文素数.31も素数でしたが、相変わらずこちらも素数.3つの平方数の和.下2桁を入れ替えたものも素数.311も素数.

137
次の139と双子.37が素数だったが、こちらも素数.2つの平方数の和.3つの平方数の和.下二桁入れ替えた173も素数.ただし、317は素数だが $371=7\times 53$ は合成数.さらに 731,713もいずれも合成数.どちらも因数が23,31と17,43と割りにくさが高い.

139
137と双子.下2桁が13で割れる素数.次の素数までの間が初めて10離れた.3つの平方数の和.

149
次の151と双子素数.エマープ素数.149と151は双子でエマープとなる(11,13と71,73に引き続き)3つめの例.140代唯一の素数.2つの平方数の和.3つの平方数の和.

151
回文素数.149と双子.

157
エマープ素数.2つの平方数の和.3つの平方数の和.

163
6も3も3で割れるのでどうしても非素数感が強くなってくるが素数.3つの平方数の和.3と1を入れ替えた数361は19の平方.

167
エマープ素数.67から来る見た目の素数感通り素数.

173
同じく73の素数感通り素数.2つの平方数の和.3つの平方数の和.

179
エマープ素数.双子の181とはエマープ同士(4例目).3つの平方数の和.下2桁入れ替えても素数.ただし、791は非素数.

181
回文素数.103,109,127,181が素数なので3のベキに100を加えた200までの数は全て素数.180代唯一の素数.2つの平方数の和.3つの平方数の和.

191
3回目の素数密集地帯(191,193,197,199)突入.193と双子.回文素数.91の素数感が半端なかったが100後は素数.100に13の奇数倍(ただし5を除く)を足した200までの数113,139,191は素数.

193
191と双子.2つの平方数の和.3つの平方数の和.下二桁入れ替えた139も素数

197
14の2乗の次は素数.2つの平方数の和.3つの平方数の和.下二桁入れ替えても素数.

199
200の大台に登る直前に素数.1,9,9を並び替えたものは全て素数.


一桁目によって分けると相変わらずそれほどばらつきはありません.

101,131,151,181,191,
103,113,163,173,193
107,127,137,157,167,197
109,139,149,179,199


10ずつ並べれば、
101,103,107,109,
113,
127
131,137, 139
149
151,157
163,167
173,179
181
191,193,197,199
となりやはり最初と最後が大きくて、真ん中も少し膨らんでいます.


偽素数感
119,133,161などは素数感ありますが、上に書いたように、
18-11=7  $119=7\times 17$
13-6=7    $133=7\times 19$
16-2=14  $161=7\times 23$

なので7で割れます.
偽素数感はやはり7の存在と、その相方の 17,19,23 も素数を順調に登っていることに起因しているようです.

117や177は電話番号としてでお馴染みだが3の倍数.疲れているとこれらも素数に見えてくるので注意.


数字の並び替えが素数かどうかについていくつか
1,1,3はどのように並べても素数.
1,3,3は133は合成数ですが、他は素数.
1,3,7は100代の2つはどちらも素数なのに371,731,713はすべて合成数.317は素数.
1,1,9は191と911が素数.
1,3,9は100代はどちらも素数.それ以外の並び替えは全て非素数.
1,7,9は100代の数はどちらも素数.他に素数となるのは上に書いた971と719のみ.
(917が合成数であることは上に書いた.)
1,9,9はどのように並び替えても素数.


3つの平方数の和とそれ以上の数の平方数の和
素数が3つの平方数の和でかけるための必要十分条件は知られていて、その素数が 8k+7 で表せないことです.
それに、自然数が4つの平方数の和で書けることは大昔(少なくとも200年くらい前まで)から知られており、書く方法の数まで知られている.

2015年3月22日日曜日

素数を数えよう(1)

今日は素数を数えていこうと思います.
この文章を読んでいる人は九九は覚えていることが前提です.

目的は数を見たときに、大きな数でも素数かどうか判定する感覚を養うためです.
ここでは、ある数が素数であるという感覚のことを素数感ということにします.

素数かどうかと言われた時、人は頭の中で必死にエラトステネスの篩を行っているわけですが、
小さい数であれば直接素数の感覚を広げていくことも大事です.
これも鍛え方(記憶力かもしれませんが)によっては如何様にも進歩すると思います.
いずれは4ケタくらいの数ならすぐに素数かどうかわかるようになれると思います.
因みに、今の私はせいぜい2けた位の素数感しかありません.

今日は2けたの素数感について復習したいと思います.

2けたの数を見た時の手順

偶数→素数でない.(ただし2は例外)
18,24とか

奇数→2けたの数を足して3で割れる→素数ではない.
27,87とか

奇数で2けたの数を足して3で割れなく、下ひとけたが5である→素数ではない.
35,95とか

奇数で2けたの数を足して3で割れなく、下ひとけたが5でなく九九に登場する
→素数でない
49(一つだけ)

奇数で2けたの数を足して3で割れなく、下ひとけたが5でなく九九に登場しない
ぞろ目である
→素数でない.
77(一つだけ)

これで2けたは完璧かと思うかもしれませんが、奇数で2けたの数を足して3で割れなく、下ひとけたが5でなく、九九に登場せず、ぞろ目でもない数があります.91です.
$7\times 13$ と分解します.
2けたの合成数として注意すべき数はこれだけかもしれませんね.

49,77,91は素数かどうか判定するときに結構曲者であることがわかりました.
この3つは例外と覚えましょう.7で割れるかどうかは難しいということですね.

よって、12以上の2けたの数を見た時、奇数で2けたの数を足して3で割れなく、
下ひとけたが5でない、49,77,91以外の数は13以上の素数ということになります.

素数は必ず $4a+1$ か $4a-1$ のどちらかの形です.($a$ はある整数)
また、有名事実として$4a+1$ の形の素数は2つの平方数の和として一意的に書けます.
例えば、13=4+9 などです.そうではない素数は平方数の和として書けません.

双子素数とは11,13のように差が2の素数同士のことをいいます.

a を正の整数として、
10a 以上で 10a+10 より小さい数(つまり、1の位のみ異なる)のうち素数となりうるのは
10a+1,10a+3,10a+7,10a+9
ですが、これが全て素数となることも珍しいですがあります.
つまり、双子が2組一番近い配置で並んでいます.
このような並びは2けたでは 11,13,17,19 だけです.
次に来るのは101,103,107,109 です.
このような素数配置を4つ子素数といいます.

双子同士の並び方は他にも、
10a+7,10a+9,10a+11,10a+13
もありそうですが、 このような数は、どれかはいつでも3の倍数ですのでこのような並びの双子同士はいません.
10a+5, 10a+7, 10a+11, 10a+13
となる双子同士は最初が5の倍数なのでa=0 の時以外はいません.

エマープとは1の位と10の位を逆さにした数も素数になっている素数のことを言います.(例:31,13など)
由来は素数 prime のつづりを逆さ (emirp) にしたものです.
回文素数とは、文字通り131のように逆さに読んでも同じ素数のことです.
これらの素数は現代数学においてさほど重要なファクターではありませんが、素数愛好家としては面白い題材かもしれません.また、素数を覚えたいとすると、このような性質を同時に覚えていくことは結構便利です.

11までの数(2以上)の素数感は十分に養われているとします.
2,3,5,7,11が素数で、それ以外は素数ではありません.

2けたの素数を見ていきましょう

11
ぞろ目で唯一の素数.2けたで唯一の回文素数です.偶数けたでは唯一の回文素数です.次の13とペアで双子素数となります.素数番目(5番目)の素数.

13
11とペアで双子素数.逆にした31も素数です.2つの平方数の和.3つの平方数の和.

17
次の19と双子となります.エマープ素数でもあります.2つの平方数の和.3つの平方数の和.素数番目(7番目)の素数.

19
10代の数の最後の素数.17と双子です.3つの平方数の和.

23
次の素数までの差が初めて6離れました.

29
次の31と双子となります.2つの平方数の和.3つの平方数の和.

31
29と双子です.カレンダーでおなじみのこの数は素数ですね.素数番目(11番目)の素数

37
30代で2個目の素数.2つの平方数の和.最小の非正則素数として、フェルマーの最終定理においてはクンマーに忌み嫌われた?

41
次の43と双子となります.2つの平方数の和.3つの平方数の和.素数番目(13番目)の素数

43
41と双子です.3つの平方数の和.

47
これはなんとなく見るからに素数と分かります.この辺は九九の答えに登場するかどうかで大体判断ができます.

53
これも素数ですが、一瞬なんだか割れそうな気がしてきますね.素数感がこの数で既に養われていないということでしょうか.隣の素数までそれぞれ6離れています.3つの平方数の和.

59
次の61と双子となります.3つの平方数の和.素数として忘れがちですがこれも素数です。合成数のお化けのような次の60の前触れの感じでしょうか?非正則素数.素数番目(17番目)の素数.

61
59と双子となります.2つの平方数の和.3つの平方数の和.一個前の60がいろんな数で割れたのでその反動でしょうか?いじけてすぐに素数になりました.次の素数まで6離れています.

67
なんとなく素数っぽいのは分かります.3つの平方数の和.非正則素数.23と同様1の位と10の位の数が隣り合っている素数.素数番目(19番目)の素数.

71
次の73と双子となります.この数はあまりなじみが有りませんが、素数です.逆にした17も素数なので、エマープです.

73
71と双子となります.2つの平方数の和.3つの平方数の和.37とエマープですね.次の素数まで6離れています.

79
97とエマープになっている.

83
ひと桁目が3の最後の2けた素数.次の素数まで6離れています.3つの平方数の和.素数番目(23番目)の素数.

89
2つの平方数の和、3つの平方数の和.いかにも何かで割れそうな雰囲気が漂いますが、ちょっとした勘違いです.
素数同士の差として2けたの中で最大の8離れています.2つ前の87と比べてどちらが素数か一瞬迷いがちです.

97
90代で唯一の素数.2けたで最大の素数.79とエマープになっている.2つの平方数の和.3つの平方数の和.


全体を通して
この21個を1の位毎に見てみると、

1の位が1の素数(5つ)
11,31,41,61,71
10の位は1,3,4,6,7

1の位が3の素数(6つ)
13,23, 43,53,73, 83
(10の位はよく見ると、4,5を境に対称的になっています.1,2,4,5,7,8)

1の位が7の素数(5つ)
17,37,47,67,97
10の位は1,3,4,6,9.対称的ではありませんが、1+9=10,3+6=9,4+4=8


1の位が9の素数(5つ)
19,29,59,79,89
(59を除いて対称的です.19+89=108, 29+79=108)


となり、ほとんどばらつきはありません.若干ですが1の位の数が3の素数が多いことになります.

10ずつ並べると、
11,13,17,19,
23,29
31,37
41,43
53,57,59
61,67,
71,73,79,
83,89,
97

とだんだんと減っていきます.

隣り合うかず2つで2けたの数を作る時、素数になるのは23,67だけですが、
増える順番だけで、減る順番で素数になるものはありませんでした.

その他

※素数は忌み嫌う対象ではないと思いますが、
13は縁起が悪いといわれることもあります.

素数19は神社では女子の厄年(本厄の年)となります.また、37(本厄)も素数です.
女子の33,34,35もどれも素数ではありませんね.
男子は42が本厄ですが、41,43という双子の素数に囲まれています.
男子の61(本厄)は素数です.

※ちなみに、うちの保育園児の息子は11までの素数感はまだありませんが、2年生の上の息子は、九九を小学校で習ったので2けたの素数感は少しだけあるようです.