2016年10月27日木曜日

微積分II演習(化学類)(第3回)

[場所1E102(水曜日4限)]

今日は、
  • 接平面の方程式の計算方法
  • 合成関数の微分法I
  • 合成関数の微分法II
をやりました.少し計算が多かったと思います.

内容を通して、偏微分の内容は仮定して話をしました.
むしろ、偏微分の計算の仕方を練習しながら接平面や合成関数の微分法を
学んだと言っても良いかもしれません.
もし、偏微分に関して不十分でしたら、教科書などで復習しておいてください.

上にpdfとしてアップした配付プリントは、授業中配ったもので以下の点で訂正してあります.

・解説の方のプリントで3-2の微分の計算例.
・例題3-1.(2)の問題の言い方を訂正.
・例題3-2.(2)を少し授業中に補足した言い方に変えました.


接平面の方程式の計算方法

接平面とは、2変数関数 $z=f(x,y)$ のグラフのある点 $(x,y,f(x,y))$ に接する平面のことで、
点 $(x,y,z)=(a,b,f(a,b))$ での接平面の方程式は、

$$z=f_x(a,b)(x-a)+f_y(a,b)(y-b)+f(a,b)$$
と書き表せます.

1変数関数の場合を思い起こせば、1変数関数 $y=f(x)$ の $(x,y)=(a,f(a))$ での接線の方程式は
$$y=f'(a)(x-a)+f(a)$$
であったと思います.上の式はこの式の2次元バージョンと思えるでしょう.


いくつか、例をやりましたが、もう一度ここでも復習しておきます.

例1

$f(x,y)=xy$ のときの $(x,y)=(a,b)$ での接平面の方程式は、
$f_x(x,y)=y, f_y(x,y)=x$ であり、$(a,b)$ を代入すると、$f_x(a,b)=b,f_y(a,b)=a$ となり、
公式に当てはめれば、

$$z=b(x-a)+a(y-b)+ab=bx+ay-ab$$
となります.この式が接平面の方程式です.

注意して欲しいのは、接平面の方程式は、変数 $x,y$ の1次式であるということです.
たまに、$f_x,f_y$ を計算するのはいいが、$(a,b)$を代入するのを忘れて、
接平面なのに、$x,y$ の2次関数や、はたまた一般の関数になってしまう人がいます.

できた式は必ず $x,y$ などの1次関数になっているかどうか確認してください。

例題3-1.(1)

$z=be^{ab}(x-a)+ae^{ab}(y-b)+e^{ab}=be^{ab}x+ae^{ab}y+e^{ab}(1-2ab)$
$z=2a(x-a)+4b(x-b)+a^2+2b^2=2ax+4by-a^2-2b^2$

となります.

合成関数の微分法I

2変数関数の大事な公式である、合成関数の微分法の計算練習をしました.

関数 $f(x,y)$ と $x=x(t)$, $y=y(t)$ を合成した関数 $F(t)=f(x(t),y(t))$ を$t$-微分します.
そのとき、以下の公式成り立ちます.

$$F’(t)=f_x(x(t),y(t))x’(t)+f_y(x(t),y(t))y’(t)$$

$f_x(x(t),y(t))$ は $f(x,y)$ を $x$ において偏微分してから、
$(x(t),y(t))$ を代入したものです.$f_x(x(t),y(t))$ も同じです.


$f(x,y)=5x+3y$, $x=t^2$, $y=t^3$ とすると、$f_x(x,y)=5$, $f_y(x,y)=3$ です.
この場合は、 $(t^2,t^3)$ 代入しても、同じ $f_x(t^2,t^3)=5$, $f_y(t^2,t^3)=3$ です.
また、$x’=2t, y’=3t^2$ なので、公式に当てはめて、

$F'(t)=5\cdot 2t+3\cdot 3t^2=10t+9t^2$ となります.

また、例題の答えは以下のようになります.

例題3-1.(2)

(a) $2\cdot f_x(2t+1,t^2)+2t\cdot f_y(2t+1,t^2)$
(b) $\cos t\cdot f_x(\sin t,\cos t)-\sin t f_y(\sin t,\cos t)$

となります.

例題3-2.(1) 
$f(x,y)$ を実際に当てはめて計算すれば、

(a) $f_x(x,y)=2x+y, f_y(x,y)=x+2y$ より、代入して、
$f_x(2t+1,t^2)=2(2t+1)+t^2=t^2+4t+2$
$f_y(2t+1,t^2)=2t+1+2(t^2)=2t^2+2t+1$ から、
$2\cdot f_x(2t+1,t^2)+2t\cdot f_y(2t+1,t^2)=2(t^2+4t+1)+2t(2t^2+2t+1)=4t^3+6t^2+10t+4$

となります.

(b) の方も同様です.

合成関数の微分法II
次の合成関数は、
$f(x,y)$ に対して、$x=x(s,t), y=y(s,t)$ を代入します.
まとめの方のプリントでは、$x=\varphi(s,t), y=\psi(s,t)$ と書いていますが、
記号 $\varphi,\psi$ が新たに増えると、ややこしいので、ここでは、
$x,y$ のままの公式にしておきます.

このとき、$F(s,t)=f(x(s,t),y(s,t))$ のように新しく、$s,t$ の2変数の関数が得られ、
$s,t$ の偏微分を計算することができるようになります.そのときの
偏微分係数を求めます.
公式は、

$$F_s(s,t)=f_x(x(s,t),y(s,t))x_s(s,t)+f_y(x(s,t),y(s,t))y_s(s,t)$$
$$F_t(s,t)=f_x(x(s,t),y(s,t))x_t(s,t)+f_y(x(s,t),y(s,t))y_t(s,t)$$

となりますが、授業中でも少し説明したように、この微分法は、上の
合成関数の微分法I を2回適用したものに他なりません.

偏微分は、着目する変数以外は全て定数と思うので、例えば、
$F_s(s,t)$ を行うときは、$s$ 以外の変数 $t$ は定数だと思います.
ですので、例えば、$t=t_0$ とかおけば、

$F(s,t_0)=f(x(s,t_0),y(s,t_0)$
という $s$ の1変数関数が得られ、その関数を、$s$ で微分することになるので、
これは、上の合成関数の微分法I が使えるというわけです.

よって、上記のような合成関数の微分法IIが得られるということになります.

また、上の $F_s(s,t), F_t(s,t)$ の公式をまとめて、行列の形に書くことができます.

このとき、

$$\begin{pmatrix}F_s\\F_t\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}x_s(s,t)&y_s(s,t)\\x_t(s,t)&y_t(s,t)\end{pmatrix}\begin{pmatrix}f_x(x(s,t),y(s,t))\\f_y(x(s,t),y(s,t))\end{pmatrix}$$

プリントのまとめに書いてある公式はこの公式の転置に対応するものが書いてあるので注意してください.


例題3-2.(2)について

$F_s(s,t)=f_x(\cos (s+t),\sin(s-t))(-\cos(s+t))+f_y(\cos(s+t),\sin(s-t))\cos(s-t)$
$F_t(s,t)=f_x(\cos (s+t),\sin(s-t))(-\cos(s+t))+f_y(\cos(s+t),\sin(s-t))(-\cos(s-t))$

となります.また、$f(x,y)=xy$ とすると、$f_x(x,y)=y, f_y(x,y)=x$ とすると、
$f_x(\cos (s+t),\sin(s-t))=\sin(s-t)$
$f_y(\cos (s+t),\sin(s-t))=\cos(s+t)$

$F_s(s,t)=-\sin(s-t)\cos(s+t)+\cos(s+t)\cos(s-t)=\cos(2s)$
$F_t(s,t)=-\sin(s-t)\cos(s+t)-\cos(s+t)\cos(s-t)=-\cos (2t)$

となります.

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