2017年6月19日月曜日

微積分I演習(数学類)(第8回)

[場所1E103(水曜日4限)]

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今回は、

  • べき級数展開について
  • ニュートン法
  • 三角関数の積分
についてやりました。

最初に
ニュートン法
についてですが、

まず、配ったプリントで、肝心なところがまちがって
いましたので訂正しておきます。正しくは、
$$c_{n+1}=c_n-\frac{f(c_n)}{f'(c_{n})}$$
です。

ニュートン法とはある方程式 $f(x)=0$ の近似解を求める方法です。
もちろん、近似解なので、直接求める方法があれば、それを取るに越したことはありません。

ある数列で、 $f(\alpha)=0$ なる解 $\alpha$ に近づくものを以下のように考えます。

まず、$f(a)<0$ かつ、$f(b)>0$ となるようなよくわかっている数値 $a,b$ をとります。
また、$a\le x\le b$ において、$f’(x)>0$ が成り立つとします。
このとき、$a<x<b$ においてただ一つの解を持つのですが、さらに、$a\le x\le b$ において、$f’’(x)>0$ も成り立つとします。このとき、関数 $y=f(x)$ はこの範囲で、下に凸である
と分かります。

今回の宿題は、ニュートン法によってどのように、解 $\alpha$ の近似解を
得るのか?を説明してもらうことにしました。

その際、始めるのは、$x=b$ という解ではない値から $\alpha$ に近づいていきます。
$b=c_1$ とします。方法は以下のようです。

$c_1$ を使って、$\alpha$ により近い $c_2$ という値を次のようにして求めます。 
宿題は、関数の大体のグラフを書きながら説明をするとよいと思います。

まず、$x=c_1$ での関数の接線 $l_1$ をとります。
このとき、$l_1$ と $x$ 軸と交わったところを $c_2$ とするのです。

このとき、説明して欲しいことは、
  • $\alpha<c_2<c_1$ であること
  • $c_2=c_1-\frac{f(c_1)}{f’(c_1)}$ であること
です。さらに、$c_2$ を先ほどの $c_1$ の役目とすることで、接線 $l_2$ をとりその
$x$ 軸との交点 $x=c_3$ を求めます。このとき、同じように、
$\alpha<c_3<c_2<c_1$ となりますのでそれを説明してください。
そのとき、鍵になる言葉は、$f(x)$ がこの範囲で下に凸であるということです。

このとき、$c_1,c_2,c_3....$ は $\alpha$ に近づき、その収束先が $\alpha$ であること
を説明してください。

べき級数展開

これまで、ランダウの記号を用いて関数をマクローリン展開してきました。
(一部テイラー展開も)

このとき、そのあまりの $o(x^n)$ の項は、$x\to 0$ のとき、かなり速いスピードで $0$ になります。

しかし、$n\to \infty$ としたときもその項がゼロに向かうかどうかはよく分かりません。
つまり、十分小さい $x$ において、その余りの項がゼロに向かうとき、

そのような、$x$ において、
$$f(x)=f(0)+f’(0)x+\frac{f’’(0)}{2!}x^2+\frac{f^{(3)}(0)}{3!}x^3+\cdots $$
なる無限和を計算するような等式が成り立ちます。
この右辺のことをべき級数といい、このような展開式のことを
べき級数展開といいます。

この等式が成り立つのはどのような条件のときか?を考える必要があります。
実は、マクローリン展開(もしくはテイラー展開)の余りの項は、剰余項と言われ、
$$R_{n+1}(x)=\frac{f^{(n+1)}(c)}{(n+1)!}(x-a)^{n+1}$$
とかかれます。$a=0$ の場合がマクローリン展開です。今、

$$f(x)=f(a)+f’(a)x+\frac{f’’(a)}{2!}(x-a)^2+\frac{f^{(3)}(a)}{3!}(x-a)^3+\cdots +\frac{f^{n}(a)}{n!}(x-a)^{n}+R_{n+1}(x)$$
であり、$c$ は $a$ と $x$ の間のある実数です。
条件は、$a$ の近くの $x$ において $|R_{n+1}(x)|\to 0$ であるなら、
この関数 $f(x)$ は $x=a$ の近くにおいてべき級数展開できることになります。

例えば、$f(x)=e^x$ として、$a=0$ とします。
このとき、$R_{n+1}(x)=\frac{e^c}{(n+1)!}x^{n+1}$ となります。
よって、$N$ をある整数とし、$x$ をある$|x|<N$ となる任意の実数とし、
$n$ を $n>N$ なる十分大きい自然数とする。このとき、
$$|R_{n+1}(x)|\le \frac{e^c}{(n+1)!}|x|^{n+1}\le \frac{e^{N}N^{n+1}}{(n+1)!}<e^{N}N^{N+1}\frac{N^{n-N}}{(n+1)\cdots (N+2)(N+1)}<e^{|N|}N^N\left(\frac{N}{N+1}\right)^{n-N}\to 0$$

よって、$N$ は任意の十分大きい自然数をとればよいので、
$f(x)=e^x$ は $x=0$ でべき級数展開をすることができ、
$$e^x=1+x+\frac{x^2}{2!}+\frac{x^3}{3!}+\cdots=\sum_{k=0}^\infty \frac{x^n}{n!}$$
なる等式が成り立ちます。上で書いたように、この等式は、任意の実数で成り立ちます。

このとき、当然 $x=0$ を入れても成り立つから、
$$e=1+1+\frac{1}{2!}+\frac{1}{3!}+....=\sum_{k=0}^\infty \frac{1}{n!}$$
となります。

このように剰余項が収束するような $x$ に対して、値を代入することで
上のような無限級数の和の等式をいくつか求めてもらいました。

三角関数の不定積分

三角関数 $\sin x $ と $\cos x$ の不定積分は、
$$\int\sin xdx=-\cos x+C,\ \ \ \int\cos xdx=\sin x+C$$
と計算できます。

また、$\int\sin^nxdx$, $\int\cos^nxdx$, $\int \tan^nxdx$ の不定積分を
$2\le n\le 4$, $-4\le n\le -1$ まで計算してもらいました。

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